惚れ直したぜ!:帝国IPA
2017年1月からの新シリーズ「Falling in Love Again ~惚れ直したぜ!シリーズ」を行います!毎月1種類の定番ビールを紹介し、面白いトリビアやストーリーを公開します。
4月は創業当初からベアード定番ビールの一つとして人気を博している帝国IPAをご紹介します。

帝国IPA
帝国IPAは、ベアードビールの創業当初からある4種類の定番ビールのひとつ。2001年1月、沼津のタップルームで、ハンドポンプでデビューしたのは、フィッシャーマンズウィートエール(ライジングサンペールエールに進化)、ベイスティーム(レッドローズ アンバーエールに変身)、黒船ポーター、そしてこの帝国IPAでした。
以前、この話題に触れたことがありますが、帝国IPAを定番に加えるという話を業界関係者にした時、「そんな個性的なビールは、日本人に受け入れられないよ」と嘲笑されたものです。IPA全盛期の今では考えられない話です。それでも、私達は国柄に関係なく、おいしいものはおいしい、いいものは受け入れられると信じて造り続けてきました。今では、アメリカのエクストリームIPAに人気が集中しているため、帝国IPAのようなイングリッシュスタイルのIPAは、ホップの個性がおとなしい、とさえ思われているのです。時代が変われば、人の好みもこれほどまでに変化していってしまうんですね。。
みんなに愛されるホップ
ところで、”帝国”とはempireまたはimperialを意味します。そしてインディアペールエール(IPA)は、19世紀、大英帝国のインド統治時代に生まれたビアスタイル。イギリスからインドへの長旅の間に、ビールが腐らないよう、ホップを大量に投入し殺菌効果を高めたり、アルコール度数を上げ長期保存を可能にしたりする中で生まれたスタイルです。ベアードの帝国IPAは、英国の伝統を基に醸造されており、複雑で奥深いニュアンスが特徴。 土や花の香りあふれるホップの風味と、 リッチでビスケットのようなモルトの個性がちょうどいいバランスです。そのため、よくある、まるでホップシロップのような攻撃的で、圧倒的なIPAではありません。ホップは、間違いなく感じるが、 静かで、落ち着いた個性に仕上がっています。
最後にラベルのうんちく話。帝国IPAのラベルは、1905年日露戦争で日本海軍がロシアに勝利したことにインスパイアされたもの。おそらく、アジアの国家が初めて西洋の国に勝利した歴史的な瞬間でした。今この平和な時代があるのは、先人たちの多大なる苦労があったからこそ。歴史に思いを馳せながら、IPAのグラスを傾け、味わってください。
帝国IPAのレトロボトル
このように、ベアードビールは、すべてにストーリーがあります。パーソナルなこと、歴史的なこと、スタイルのこと、いろいろなストーリーに思いを馳せながら造られています。皆さんにも、自分の体験と合わせながら、楽しんでいただけたら幸いです。
多くの皆様に、この新しいシリーズを楽しんでいただき、定番ビールに「惚れ直したぜ!」と言っていただけることを願っています。乾杯!
ベアードさゆり